アラフォー往復書簡 vol.13 死を忘れるなかれ byイシワタマリ | Yama Yama Art Center

こんばんは。

ご無沙汰していたこの1年、妊娠し出産し、私もあなたと同じ3児の母の仲間入りをしました。

自分にとっての数の認識って「0か1か2か3以上」みたいなとこあって、つまり3以上は全部「いっぱい」なかんじで。「おなかから人間をいっぱい出した!」って感じです。もう何もかも次世代に引き継ぎたいような気分です。おなかから誰かが出ていくたんびに、自分自身からこだわりやしがらみが無くなっていくのは、寂しさもあるけれど悪いことではないような気はする。悪いことではないけど、お産のせいなのか加齢のせいなのかわからないけど、でも、なんというか喪失感はあるね。何を失ったのかよくわからないくらい色々なものを失った感じ。

さて、そんな私だけど、20歳くらいの頃に観た『ビッグ・フィッシュ』という映画にとても影響を受けています。その映画の主人公は年老いて死んでいくときに、それまでに出会った人たちに笑顔で拍手喝采されながら「バイバーイ」と送られて魚になって海に流されていく、というイメージとともに満足げに死んでいく。私もそんなふうに、「あんなこともあったな、こんな人もいたな、クックックッ」って、人生を振り返ってほくそ笑みながら死んでいきたい。その映画を観たくらいからずっと、自分がおばあさんになる頃や死ぬ頃のことばかりイメージしてきた。だから、そこに至るまでのプロセスである40代とか50代の「中年」を生きる自分をあんまりイメージできてなかったな、と、歌子のお手紙を読んで逆に気づかされたよ。死の訪れが若いバージョンもあるけれど、仮に長生きバージョンだとした場合には、これから訪れる40代、50代はけっこう悩み多きお年頃にはなりそうだね。最近私がドキドキしてるのは更年期障害ね。どうなるのやら。頑張れるかしら。(ところで歌子氏40代突入おめでとう!ちなみに40歳の誕生日、の前日が属する月、からあなたは介護保険料を支払い始めているのですよ!キリッ。)

最近ね、

「あなたは何がしたいの?」という質問は重いなって思う。複雑な要因が絡み合いすぎててその質問に端的に答えることって難しすぎる。その質問をどう解釈すればいいだろうと迷ってしまうときは、「メメント・モリ」(ラテン語で「死を忘れるなかれ」)という言葉をいつも思うよ。ネガティブに捉える人もいるけれど、私はポジティブな言葉だと思う。生きている限り誰でもいつか死ぬ、当たり前。それを踏まえたら、今をどう生きたら後悔が少ないんだろう?・・・端的に答えられないことに変わりはないけど、少しだけ、イメージしやすい気がする。愛犬が死んで悲しいけど、毎晩「ずぅっと大すきだよ」って言ってたからいくらか気持ちがらくだった、というおはなしが、娘の小学1年生の国語の教科書に書いてあった。たぶんそんな類のこと(『ずーっとずっと、大すきだよ』作・絵: ハンス・ウィルヘルム/訳: 久山 太市)。大切なものを大切にしたり、好きなものを好きと言うとか、大事なのはそんなことなんだろうと思う。

ああ、あれ?と思ってこの往復書簡の過去回読み直したらだいたいおんなじようなこと書いてた。「死を忘れるなかれ」は私の十八番・・・どうやら片時も忘れてない。認知症になったらこの話ループすんのかも。よろしく。

私はゴニョゴニョ言ってるけど、要点はだいたいここに上手に書いてあるからリンク貼っときます。メメント・モリな時代ではあるのかも。(福島県いわき市地域包括ケア推進課発行igoku vol.10『終活の違和感』)

ああ、なんかすっごい取り留めないよ。
ただただ、毎日、眠くそして眠れず。
まあ、引き続き、生きれるとこまで生きてみます!

 

イシワタマリ

山山アートセンター代表、美術家。1983年横浜市生まれ、福知山市在住。慶應義塾大学で「スピリチュアリティにまつわる社会学」を学んだのち、2007年から2009年にかけて、スペイン北部バスクやベルリンで絵画やパフォーマンスなどの創作活動を行う。2015年以降、京都府北部~広く山陰地域=「このあたり」を舞台に、さまざまな人が力を持ち寄ってとにかく生きようとするプロジェクト「山山アートセンター」構想を展開。2018年より高齢・障害・児童の複合福祉施設Ma・ RooTs(みねやま福祉会/宮津市)広報兼アートコーディネーター。
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    展覧会『逡巡のための風景』(2019年/京都芸術センター)から始まった、イシワタマリの覚え書きあれこれ。
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